先日の修練のとき、基本の稽古が終わって子どもたちを先生ごとに振り分けていた時のこと。

「じゃあ、子どもたちを分けますね……えーっと」と僕が声をかけていると、小学生の低学年の女の子が、僕のことをじっと見ながら指を差してきました。

「僕でいいの?」と聞くと、彼女はコクンとうなずきました。
思わず「モテ期到来か!?」なんて冗談を思いつつ(笑)、とても嬉しくて、もちろんその子を受け持って指導しました。

この出来事から、改めて「子どもたちが誰から学びたいと思うか」はとても大事なことだと感じました。

武道の指導には様々なアプローチがあります。正解は一つではありませんが、僕自身が日々大切にしているポイントを、備忘録も兼ねてまとめてみたいと思います。

僕が大切にしている5つの指導法

① まずは「やらせてみる」

細かく口出しする前に、まずは実際にやらせてみます。
武道の動きはすぐには身につきません。最初は出来なくてもいいんです。「やってごらん」と促すことで、自分なりに考える習慣がつきます。

② 一度に直すのは“1ヶ所だけ”

ひとつの技には多くの要素が含まれていますが、最初から全部を直そうとすると混乱してしまいます。
僕は、特に目立つポイントを1つだけ伝えて、そこに集中してもらうようにしています。

③ 出来たらすぐに“認める”

修正したところが良くなったら、すぐに褒めます。
「直す → 出来る → 認められる」このサイクルは、子どもたちのやる気や自己肯定感を大きく育ててくれます。

④ 自信を持たせる

基本や移動稽古の中で「上達したな」と思ったら、迷わず本人に伝えます。
「うまくなってるよ」「自信持ってやってみよう」そんな一言が、子どもにとっては大きな励みになります。

⑤ 伝え方の工夫

指摘するときも、まずは良かった点から伝えるようにしています。

たとえば、
「さっきの演武、前に言ってた〇〇がしっかりできてたね。
でも、それができるなら△△がまだできてないのはもったいないよ。
ここをこうすれば、もっと良くなるから頑張ろう」

また、「どう直すか」だけでなく「なぜ直すのか」「どう変わるのか」まで伝えるよう意識しています。
子どもだった頃の自分を思い出しても、理由が分からないと納得できなかったので。

こうしたやり方は、教育や指導の現場では「当たり前」と思われるかもしれません。
でも、実際にそれを“毎回きちんとやる”のは簡単ではありません。

だからこそ、何より大切なのは子どもたちとの信頼関係だと思っています。

信頼される大人でありたい

最初の話に戻りますが、「この先生から教わりたい」と子どもが感じてくれることは、技術やノウハウ以上に大切なことだと思います。

それは、言葉にしなくても、日頃の関わり方や態度から子どもたちはしっかり見て感じ取っているのだと実感します。

僕自身も、道院の子どもたちから「この先生に習いたい!」と奪い合いになるくらい信頼されるよう、もっともっと努力していきたいと思っています。

子どもたちは本当によく見ています。
これからも真剣に、真摯に向き合い続けていきます。

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