時には「遠回り」も、子どもたちの大きな成長に繋がります
少林寺拳法の指導の中では、私はあえて“遠回り”とも言えるような関わり方をすることがあります。
たとえば、技術を習得するだけであれば、大人が一つひとつ丁寧に教えてしまった方が早く身につくかもしれません。
しかし、あえて子どもたち同士が教え合うような時間や場面をつくります。
もちろん、最初からうまく教えられるわけではありません。
言葉が足りなかったり、教え方がわからず戸惑ったりすることもあります。
でも、教える側になった子どもは「どうやったら相手に伝わるだろう?」「どこが分かりにくいのだろう?」と自然に相手のことを考えるようになります。そうした経験は、技術の理解を深めるだけでなく、思いやりや責任感、自信といった“人としての力”を育む大きなきっかけになるのです。

実際、昨日の稽古でも3人の子どもたちが、それぞれに相手を変えながら練習している様子がありました。
その中の一人が自分からリーダーシップを取り、他の子の動きを見てアドバイスをしたり、分からないところを一緒に確認したりしていました。そんな姿を見るたびに、子どもたちの内面の成長を実感します。
このように、少林寺拳法は単に技を習得するための武道ではありません。
技術を通して、自ら考え行動し、人と協力し、そして相手を尊重する心を育てていく──それが私の目指している指導です。
だからこそ、私は「できること」を増やすだけでなく、「どう生きるか」「どう人と関わるか」といった、人としての成長にも重きを置いています。ただ技ができるようになるだけでは意味がありません。その背景にある“人づくり”こそが、少林寺拳法の本質であり、私たちが大切にしていることです。
保護者の皆さまにも、子どもたちの技術的な上達だけでなく、そうした日々の小さな成長にもぜひ目を向けていただけたら嬉しく思います。時間はかかるかもしれませんが、その「遠回り」が、将来きっとかけがえのない力となって子どもたちの人生を支えてくれると、私は信じています。