大会が近づき、道場の子どもたちも演武の練習に熱が入ってきました。
そんな中、私が子どもたちに指導するときに意識していることがあります。
それは「法形に立ち戻る」ということです。
今回は、少年部を指導されている先生方にも参考になればと思い、その考え方について書いてみます。
演武とは何か
演武の練習というと、少林寺拳法において「特別」な感じがある。
実際、それが好きな拳士もおり一生懸命演武に掛けている。
特に学生の立場であれば、大会もあるので一生懸命になっている。
しかし、じゃあ「演武とは何か?」と聞かれたら、何と答えるだろうか。
演武とは、別の記事でも書いたが開祖の言葉がある。
「演武というのは、音符を五線紙の上に書き入れて作曲するのと同じである。
ドレミファソラシドの音符が法形であり、その音符を自由に並べて曲を作る。
このできあがった曲が演武である」
開祖は、演武とは法形を組み合わせて作り上げるものであると示されています。
つまり、演武は法形の連続であり、法形を離れて成立するものではありません。
演武を見ていて「何か違和感がある」と感じる場合、その原因は意外と単純です。
多くの場合、その部分の法形が正しく行われていないのです。

法形を修正できれば、演武は変わる
例えば、よくある少年部の構成として「両手寄抜→回し蹴りからの上段逆突きに対して転身蹴」という構成があるとする。
この場合、「両手寄抜」と「転身蹴」が成立していないといけない。
どうしても演武の動きの中で、早さや力強さ、また学生演武に散見される「見得を切る」ような動きもあるが、まずはこの2つの法形をしっかり身に着ける必要があるのだ。
演武について語ると、
「距離感が悪い」
「武的要素が足りない」
など、さまざまな指摘があります。
もちろんそれらも大切ですが、私はまず法形が正しくできているかを確認します。
「一度、両手寄抜だけやってみよう」と指導することが多い。
実際に法形修練として両手寄抜をやらせると、ちゃんとできている。
転身蹴にいたっては、演武のときは明後日の方向に攻者がついていたが、ばらして法形でやらすとちゃんと突く。
「ほな、それぞれ意識してやってみぃ」というと、うまくいく。
子どもたちの演武に感じる違和感は、このように法形へ立ち返るだけで大きく改善されることが多い。
大人の拳士(全員とは言わないが)は演武が「法形の連続」であることは分かっているが、子どもたちには都度説明するほうがいい。
構えを修正させるついでに、成長を促す
ちなみに、これも少年部あるあるだが「構えがおかしい」場合がある。
左前中段で構えたときに、前の手が下がり過ぎていたり、後ろの手の位置がずれていたりする。
また、足の位置がおかしいこともある。
これについては、大人指導者が口うるさくいっても、なかなか修正されない。
そこで、最近しているのが「演武を組んでいる相手に言わせる」というものだ。
「目の前の相手の構えがおかしいと思ったら、すぐ相手に言え」としている。
実は、これは「構えを修正させる」という単純なことだけでない。
いわば「指導される側」から「指導する側」の視点を与えるということだ。
また、こうすることでお互いに相手のことをよく見るようになる。
一石二鳥いや、三鳥以上の効果があるだろう。
まとめ
演武は特別なものではありません。
開祖が示されたように、演武は法形の組み合わせによって作られます。
だからこそ、演武で違和感を感じたときは、まず法形に立ち返ることが大切です。
少年部の指導でも同じです。
構えや動きの一つひとつを見直し、正しい法形を積み重ねることで、演武は大きく変わります。
私自身も、改めて基本と法形の大切さを忘れず、日々の修練に取り組んでいきたいと思います。
そして、子どもたちにも、その大切さを伝え続けていきたいと思います。
