私は、少林寺拳法の指導において、「技がうまくなってほしい」という思いを持っています。
しかし、私が何より大切にしているのは、子どもたちの「ヒーロー力(りょく)」を伸ばすことです。
これは、これから何度も登場するキーワードになるので、今回は私なりの「ヒーロー力」について書いてみたいと思います。
子どもたちは、みんなヒーロー力を持っている
「ヒーロー」と聞くと、完璧な人間を思い浮かべるかもしれません。
けれど、本当にそうでしょうか。
世の中のヒーローを見てみると、たった一人ですべてを成し遂げる存在はほとんどいません。
戦隊ヒーローは必ずチームで戦います。
どれだけ優秀なリーダーがいても、一人だけでは成り立ちません。
昔のロボットアニメでも、力持ちのキャラクター、ムードメーカー、メカに強いキャラクターなど、それぞれが自分の役割を担っています。
つまり、「何でもできる人」がヒーローなのではありません。
自分の強みを発揮し、仲間のために行動できる人こそ、ヒーローなのだと思います。
少林寺拳法の教えを、子どもたちにおいて分かりやすく表現すると、こうなると思います。
子どもたちにも、さまざまな個性があります。
運動が得意な子もいれば、勉強が得意な子もいます。
一方で、どちらも苦手な子もいます。
少林寺拳法があまり上手ではなく、ふざけてばかりいる子もいます。
では、そんな子はダメなのでしょうか。
私は、そうは思いません。
もしそう見えてしまうなら、それは指導者側の視野が狭くなっているのかもしれません。
子どもの中に眠る「ヒーロー力」を見つける
ある子の話です。
その子は、いつもふざけていて、なかなか練習に集中しませんでした。
ある日、小さな子の練習相手を任せてみました。
すると、驚くほど面倒見がよかったのです。
その子は末っ子で、普段は周りに面倒を見てもらう立場です。
それなのに、小さな子にしっかり向き合い、優しく声をかけながら練習をしてくれました。
私は思わず、こう声をかけました。
「ありがとう! めっちゃよく見てくれるやん。助かったわ!」
少し大げさなくらいに褒めました。
その言葉が、彼の心にどれだけ響いたのかは分かりません。
でも、一つだけ確信しています。
子どもたちは、役割を与えられることで、自分でも気づいていない力を発揮することがあります。
これは、近年注目されている「非認知能力」の成長にもつながる大切な経験です。
だからこそ、指導者は子どもたちにさまざまな役割を与え、その子の中に眠る「ヒーロー力」を見つけていかなければなりません。
本人も、保護者も、そして私たち指導者自身も、まだ気づいていない力が必ずあります。
少林寺拳法「も」できるヒーローになれ
少林寺拳法の修練には、さまざまな場面があります。
技を覚えることはもちろん大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、仲間を思いやる心や、自分の役割を見つける力、人のために行動する力を育てることだと考えています。
少林寺拳法は、技術だけでなく、人間力を育てる武道です。
指導者は教える立場ですが、主役はあくまで子どもたちです。
だからこそ、一人ひとりにさまざまな役割や立場を経験してもらいたいと思っています。
その中で、それぞれの「ヒーロー力」を見つけ、伸ばしていく。
それが、私たち少年部指導者の役目です。
指導者としては、賛否のある考え方かもしれません。
それでも、私は声を大にして伝えたい。
少林寺拳法だけがうまい子はいらない。
少林寺拳法「も」できるヒーローになってほしい。
